Rhinocerosは3次元CADの中でもサーフェスモデラーに分類されます。サーフェスには法線の向きに従って表と裏の概念があるため、それを理解していないとモデリングする際にコマンドによっては思った結果が得られない場面に遭遇します。
シンプルなモデルを用いて法線の向きの重要性を見ていきたいと思います。
センターストーンのみのシンプルな甲丸の指輪です。指輪の腕は下記のように作っています。
作成した腕と石座の計3パーツを和のブール演算であるBooleanUnionコマンドを使って、ひとつの閉じたポリサーフェスにしてみましょう。
この例では和のブール演算が正常に処理されていません。これはいずれかのオブジェクトの法線の向きが思っている向きと逆になっている(反転されている)からだと考えられます。
Dirコマンドを使って腕パーツの法線方向を確認してみましょう。
法線を示す白色の矢印がサーフェスの内側に向かっていることが分かります。
Dirのコマンドオプションで反転(F)するか、Flipコマンドで法線方向を反転しましょう。
法線を示す白色の矢印がサーフェスの外側に向かうように変更できました。これで和のブール演算が正常に機能します。
このように法線方向は後からでも変更可能ですが、あらかじめ法線方向が分かっていれば手間を省くことが出来ます。Rhinocerosの初期設定ではサーフェスの背面の表示設定は表面の設定と同じになっています。このままだと法線方向が分かりづらいので、あらかじめ背面の設定をしておくことをお勧めします。今回はシェーディングの表示モードを設定しています。
OptionsからRhinoオプションを開き、ビュー→表示モード→シェーディングを選択して、背面の設定を『すべての背面に指定色を使用』に変更して指定色を設定します。この例では薄紫色(ラベンダー)に設定していますが、お好みで作業の邪魔にならない色で良いかと思います。設定ができたらOKでウィンドウを閉じます。
このように法線方向が内側に向いてしまっている(背面方向になっている)サーフェスが指定色で表示されて認識しやすくなりました。Dirコマンドを使わなくてもひと目で法線方向が判断できます。
ブール演算のコマンドなどではサーフェス・ポリサーフェスの法線方向を使って処理が行われるため、正しく認識していないと望んだ通りの結果が得られません。少し設定が必要ですが法線方向を確認しやすくすれば作業効率が上がります。