3Dプリントマスクの可能性

3Dプリントマスクへの期待

新型コロナウイルスの感染拡大による深刻なマスク不足を受け、株式会社イグアスが同社で取り扱う3Dプリンターを活用し、繰り返し利用可能な3Dマスクを開発していることが話題になっています。3Dマスクは同社の独自マスクの呼び方のようです。

【3Dプリンター】コロナ対策で深刻なマスク不足を受け、繰り返し利用可能なマスクを3Dプリンターで製造(2020年03月23日)

3Dプリントマスクは3Dスキャナー・モデリングソフト(CADなど)・3Dプリンターを駆使して製作しているとのことです。3Dスキャナーで顔をスキャンして、その3Dデータを元にマスクを設計し、試作を繰り返して、輪郭と顔の各パーツの形状に沿ったフィット感のある最適な形状を実現しています。素材は軽量で柔軟性・耐久性のあるナイロン粉末材料を使用しており、洗浄もできるので繰り返し使用が可能で、内部にガーゼ・布等セットできるようなっています。

プレスリリースで公開された3Dマスクの写真を見てみると、3Dプリントされるのはマスク本体のみで、ゴム紐などを通して着用するようです。また、内部にセットするガーゼ・布等の固定にはテープなどを使っているように見えます。身近に手に入るもので使用できる設計ですね。

下記の2種類の3DマスクがSTL形式の3Dデータとして公開され、ここからダウンロード出来るようになっています。

3DデータをWebGLで表示

  • 男性用マスク
  • 女性用マスク

3Dマスク1個当たりの材料に掛かるコストは、800~1200円程度。サイズは厚さ1mm、重さ7g。

ダウンロードしたデータはWindows10などからは標準アプリで表示できますが、このようにWebGLを使ったウェブサイトを用意すれば、スマホ・タブレットからでもブラウザで3Dデータを表示できるため、サイト訪問者にストレスなく3Dデータを閲覧してもらえます。ちなみにSTL形式には色情報はありません。今回は男性用・女性用を分かりやすくするために設定を加えています。

改めて3Dマスクの形状を見てみると、素材にナイロン粉末材料を使うことで柔軟性を確保しているとはいえ、万人にフィットするものかどうかは判断しづらいと思います。やはり、ひとりひとりの顔の形状を3Dスキャンでデータ化して、モデリングソフトにより調整したものを、3Dプリンターで出力し製品として届けることが、3Dプリントマスクの最終目標となるように思えます。

デザインもカスタマイズ出来ればファッションアイテムとして認知されるかもしれません。実際に海外ではデザインされたマスクをファッションショーでモデルが着用する取り組みもあります。


未だ収束する兆しは見えない新型コロナウィルス。市販のマスクが手に入らなくなり、手縫いのガーゼマスクで対応している方も多いと思いますが、誰もが用意できるものでもありません。イグアスさんのような取り組みにより、3Dプリントマスクが商品化されて広がれば、自分専用のマイマスクを使う人も出てくるでしょう。

皆がマスクを買い求めた結果、一番必要な医療・介護現場にすらマスクが足りない状態は社会全体で回避しなければならないと感じました。